ポストオウム世代のオウム/カルト問題研究の展開

「宗教と社会」学会研究プロジェクト

プロジェクトについて

プロジェクト名称:

「ポストオウム世代のオウム/カルト問題研究の展開」プロジェクト

 

プロジェクトの趣旨:

 1994年のオウム真理教による松本サリン事件からは間もなく20年が経ち、来年には1995年の地下鉄サリン事件から20年となる。オウムの後継団体は活動を依然として続けており、他方で「宗教」をめぐる社会的諸事件や諸問題――ここではそれらを「カルト問題」と呼んでおく――は、グローバルに見ても、また国内にかぎっても後を絶たない。
 「若者・学生はオウムを知らない」とは常套句となっており、キャンパスやその周辺、SNS上では正体を隠した各種の不公正な勧誘等が蔓延しているが、他方でその若者・学生に現代宗教を講じる教員=研究者もまた、事件後に研究を始め、学界に参入したような「ポストオウム世代」が増えつつあるのが現状と言えよう。
 宗教研究・宗教研究者らは、オウム事件以降、これらの諸問題にどのように取り組み、いまに至っているのだろうか。たとえば「オウム事件はなぜ起きたか」、このシンプルな問い一つに対しても、裁判のほとんどは終わったが、これまで検証委員会のような形で総合的に検討され結果が広く公表されたことは管見のかぎりないし、宗教研究の領域からも(一部の軽妙な論評を除いては)堅実な資料分析に基づいた知見はいまだ提出されていないように思われる。
 本学会においては、1996年のワークショップ「「宗教」としてのオウム真理教―その研究課題と展望―」開催、2004-2007年度の「カルト問題と社会秩序」プロジェクト(代表者:櫻井義秀)活動、2006年のテーマセッション「「カルト」問題研究の展開と課題」開催などに基づき、これまでに一定の成果が蓄積されてきた。
 本プロジェクトはこうした蓄積を踏まえ、問題意識を継承した上で、「ポストオウム」という社会状況・研究状況のなかで、オウム問題・カルト問題についての情報を共有し、今後中長期的に研究を展開するための基盤とネットワーク構築を目指し、構想されたものである。